“映え・盛る”から“落ち着き”へ ‘’チルアウトが快適“な若者たち

Youtuberにはメシのタネである「いいね!」獲得の一人相撲に「もういいや!」という若者は、「チル」なムーブメントに共感する。心穏やかに自分を見つめて過ごそう。喧騒の次には、“哲学”の風が吹いてくるのかもしれない。

■チルアウトな生活を求める

 イマドキの若者にとっては、「盛る」「映え」ることに必死になることはすでにダサいらしい。最近では、スラングである「チル(Chill)」「チルアウト(Chill out)」というワードを使う。「リラックスする」「落ち着いている」という意味。同名のリラクゼーションドリンクも発売されている。決して“エナジー(活力)”ではないということ。今後は、たとえば「おかゆ」「ホットミルク」「スープ」「ハーブティー」など、心を落ち着かせることのできる商品が求められるのかもしれない。

■あえて“しらふ”でいることのメリット

 ゆえに、ノンアルや微アル飲料が売れるのもうなづける。米国の若者で支持が拡大している「ソーバーキュリアス」(Sober Curious)とは、あえてシラフでいる快適さを提唱した書籍が発火点だ。日本でも、下戸ではなく、お酒は全然のめるがあえて「飲まない」というスタイルを選択する人が増えている。健康面でも金銭面でも「生産的な毎日が過ごせる」ことがメリットだという。

■心穏やかにレジャーするステイケーション

 また一方では、「ステイケーション」というワードも注目されている。「stay+vacation」で、遠出をせず近場や宿泊施設内ででレジャーを楽しむスタイル。時間に追われてあちこち観光にがっつかないという意味では、「チル」な価値観に通じるものがある。「いいね!」の数を気にすることでのSNS疲れを感じる若者も増えている。その反動もあり、静かに自分と向き合い、等身大の自分、正気の自分を取り戻し生きていこうとする動きとみてとれる。

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編集工房《Office K》が提供する、Marketing/Mind/Movementのイマとコレカラを読み解くトレンド・クリップ。時代・社会、市場・商品、暮らしや生活意識の大小潮流をご紹介。