高齢者ソリューション “エイジテック“の恩恵

女性に関するフェムテック、金融サービスのフィンテック、農業のアグリテックなど、先端技術によるDXが佳境を迎えているが、次の主役は高齢者を支援するエイジテックだ。その向こうには、万人快適なユニバーサル社会が待っているはずだから。

急拡大するエイジテック市場

 Forbes誌によると、エイジテックの市場規模は2025年までに2.7兆ドル(約300兆円)近くまで成長すると予測。総務省は、わが国の高齢者向け市場は、2025年までに101.3兆円にまで拡大するとの試算を示している。

■高齢者を支える先端テクノロジー

 先ほど開催された先端技術の見本市「CES2024」(ラスベガス)では、スマホを利用して病気や老化でうまく声を出せなくなった人を助けてくれる音声支援アプリ「Whispp(ウィスプ)」や、相手の話した言葉を文字起こししてリアルタイムで視野に映すメガネ型の装置、ノイズキャンセリングの原理を応用して手の震えを打ち消してくれるグローブなどユニークなアイテムが展示された。

■実用化されるエイジテック商品

 わが国においても、エイジテック製品やサービスは拡大しつつある。曲面サウンド技術を搭載しテレビの音量を上げずともよく聞こえる「ミライスピーカー・ホーム」は、CMでもおなじみだが2023年10月現在、シリーズ累計販売台数は20万台を突破している。また、シニアの身体機能を向上させるアイテム、パワードシニア(本紙既報)関連商品も多彩だ。ソニーが開発する「ARグラス」は、会話のやり取りをリアルタイムで字幕表示が可能。翻訳機能も搭載する。歩行筋サポートギア「「futto」(YAMADA社)は、下半身に装着して骨格筋に沿った前後左右のゴムが収縮することで歩行をスムーズにしてくれる。これらエイジテック商品は、高齢者が直面する数々の身体的課題をサポートするだけでなく、あらゆる世代の生活者のQOLを向上させるものでもある。


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