働き方改革の多様化 “動的転職/静的退職“のそれぞれ

働き方改革やコロナ禍が追い風となって、世代を問わず人材の流動化がますます加速している。転職を経て上昇していく人、第三者の助力を得て退職する人、退職はしないが企業の深淵に身を沈める人。まさに働き方はさまざまに多様に。

■世代を問わず高い転職率

 マイナビの調査では、2023年の正社員転職率は7.5%で過去最高水準が続いている。20代男女が34.0%ともっとも高いが、2021年以降、20代は減少傾向。逆に、30~50代のミドル世代の比率が高まっており、2023年では、転職者の約半数は30~50代のミドル世代となっている。

 ■退職代行サービスが人気

 転職のためにはまず現在の会社を退職する必要がある。2022年にサービスを開始した退職代行サービス「モームリ」(アルバトロス社)が話題だ。ネーミングにもあるように、「この会社で働き続けるのは、もう無理」と駆け込む利用者は、6割が20~30代だが、残り4割は40~50代だという。退職理由は、ブラックな労務環境やハラスメント、人間関係が多い。

■“静かな退職”を選ぶ人々

 一方で、これは実質的退職なのでは?という動きもある。問題視され始めた「静かな退職」とは、キャリアや成長のために一生懸命働くことをやめて、求められる以上の仕事はしない働き方を指す。日本では40~50代の一般社員に多いという。企業にとっては、給与を払っているのに業務貢献度が低いうえに、周囲への悪影響もあり、頭を悩ましている。働き方改革は、虚実さまざまな動きをもたらしている。

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