あまりにも悠長な対応ぶりだが、2020年春からテレビ視聴率が24年ぶりに、「個人視聴率」や「収集法の全国統一」、「サンプル数拡大」などを敢行。マーケティングのあり方やテレビCM出稿スタイルも大きく変わりつつある。
■「世帯」から「個人」へ
一人一台の受像機やスマホなどテレビ視聴デバイスの多様化を受け、ビデオリサーチ社は、2020年春から、これまでの「世帯」をベースとした視聴率に加え、どれくらいの人が見ていたのかを表す「個人視聴率」を公開。さらに、全国の視聴人数の推計値も公表される。併せて、関東地区での調査世帯を900から2,700へと3倍増とするなどサンプル数を拡充、機械式調査を全国に導入するなど調査仕様の統一を図った。
■ネット広告費がテレビ広告費を上回った
一方、世帯視聴率をベースとした従来の広告出稿モデルは苦戦中だ。勢いを増しつつあるデジタルマーケティングでは、広告識別子やブラウザー単位でデータを取得できる。事実上は個人単位でデータを収集して広告出稿などマーケティングに活用している。電通調べでは、2019年、インターネット広告費がテレビメディア広告費を上回り、2兆円の大台を超えた。
■15秒CMを1枠ごとに購入可能に
近年では、テレビCM出稿は限りなくデジタルマーケ手法に接近、たとえば現在、テレビCMは15秒1枠単位で購入可能になった。従来の番組提供を前提とした「タイムCM」と、広告の総量を決めて特定の曜日や時間帯に流す「ポットCM」に加え、15秒1枠=数万円から出稿できる「第三のスタイル」が生まれたわけだ。その結果、、ネット広告会社や異業種からテレビ広告代理業への参入が続いているという。デジタル化とパーソナライズの大潮流は、広告の世界を極限にまで柔軟に変貌させていくだろう。
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