密を避けるしかないコロナ禍は、都市圏をめぐる人口動態の変化をも後押しし始めた。人びとは、都心から郊外へ、都市から田舎へ静かな大移動を開始、掛け声倒れの地方創生にも強力な援軍となる勢いだ。コロナにも三分の理ということか。
■大都市圏からの人口流出
いま、大都市圏からの人口流出が止まらない。
総務省の住民基本台帳報告によると、このところ、東京都内で他の道府県への転出が転入を上回る「転出超過」の状態が続いている。名古屋や大阪の大都市圏でも同様の動きだ。また、東京都の予測による昼間人口推移は、2025年に1657万1千人とピークに達した後、減少に転じ、2040年には1578万8千人になると見込むが、これもコロナ禍の影響で動きは加速されるはず。
■郊外エリアの住宅需要が伸びている
このような人口動態は、国内住宅市場に変化を与えている。テレワーク拡大に伴い、郊外のマンションや戸建て住宅の販売が上向き始めたという。また、新築一辺倒ではなく中古物件も人気とか。当然、価格も都内物件より安く、しかも広い。
■「駅近」より「広さ」、通勤時間も気にしない
事実、リクルート住まいカンパニーの調査によると、消費者ニーズが都心から郊外に転じている変化が顕著だという。住宅購入の際の条件では、昨年調査より、「駅近」が10ポイント減り、逆に「広さ」が10ポイント上昇した。公共交通機関で30分超でもよいと考える人の割合も10ポイント増えている。これまでの都心志向・駅近志向は薄れていく傾向にあり、密を避けたい意識は生活者のライフスタイルや購買行動に長らく影響を与え続けるのかもしれない。
0コメント