“買いたい物を買う”、“行きたい場所に行く”ではショッピングやエンタメの真の楽しみは得られない。思いもかけなかったモノコトヒトとの出会い(の仕掛け)こそが、生活者の潜在的アンテナを刺激する。予定調和な消費にワクワク感はない。
■未知と出会うワクワク感
セレンディピティ(serendipity)とは、いつもとは違う“予想外”のものを発見すること、何かを探しているときに探しているものと別の価値があるものを“偶然”見つけることを指す。博報堂生活総研では分かりやすい例として「福袋」を挙げている。普段より安価に購入できるお得感だけでなく、「普段の自分ならば選ばないかもしれない“未知の商品”と出会うことへのワクワク感を感じ、楽しんでいる」と分析する。
■ガチャ旅やお任せサブスク通販など
このようなセレンディピティ手法はビジネス界ですでに拡大しつつある。ピーチ航空が発売する「旅くじ」は、1回5000円のガチャで行き先が決定される。どこになるか分からない、という未知への期待感がSNSでも話題になった。また、サブスク通販のsubsc(サブスク)は、全国の注目ショップの厳選アイテムを毎月1回・定額で届けてくれるサービスだ。「何が届くか毎月ワクワクする」、「新しいお気に入りと出会える」 などの好反応が寄せられているという。
■移動販売も新しい出会いを生むシステム
急拡大しているキッチンカーなど移動販売もセレンディピティ手法の一つだ。三井不動産グループの「MIKKE! (ミッケ)」やメガネスーパー、モスバーガーなど、各業界からの参入がとまらない。移動販売がもたらすメリットは、多数の店(モノやサービス)のほうからが消費者の元にやって来ることや、テナントにとっても、これまで出会うことのなかった消費者との新たなタッチポイントとなる点だ。セレンディピティ手法によって、固定店舗や通販にはない、第三の消費価値が生まれることになるだろう。
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