コロナ禍に苦しむホテルが新たな需要掘り起こしに向けて進化している。新たな滞在スタイルを提案する、ターゲットを柔軟にシフトさせる、ITの力を借りて新サービスを生み出す。さまざまな発想と組み合わせがホテルの “次”を創ろうとしている。
■「ホカンス」需要を掘り起こす
2020年から続くコロナ禍は、ホテル業界を瀕死の状態にまで追い詰めつつある。2020年統計では都市部ホテルの稼働率は4割前後、リゾートホテルは3割にまで落ち込み、宿泊者はどこも半減している。しかし、この逆境をバネにホテルはしたたかに進化しつつある。ホテルニューオータニが実施した「卒旅プラン」は、旅行ができない学生向けのホテルステイ・プラだ。「写ルンです」付き宿泊プランでは、ホテルで過ごしながら気の置けない友人と写真を撮って思い出の記録を残せる。ビジネス・観光客以外の需要を掘り起こす「ホカンス」(ホテル+バカンス)の取り組みだ。
■家族全員で楽しめるワーケーション提案
軽井沢プリンスホテル「ファミリーワーケーション」プランは、家族での滞在中、子どもを対象とした遊びや自然体験プログラムを開催し、父母の仕事と子の学びを両立させる取り組みだ。「家族全員で楽しめるワーケーション」という新たなライフスタイルを提案している。
■寝ている間に睡眠計測
カプセルホテル「9h Akasaka sleep lab」では、宿泊客の睡眠状態を自動的に解析する「9h sleep fitscan」サービスを開始。カプセル内に設置された赤外線カメラ、集音マイク、体動センサーの3点で宿泊客の睡眠中の心拍や呼吸の回数、いびきや歯ぎしりの音などの身体データを測定。翌朝にメールでデータを解析した睡眠リポートを送ってくれる「日本初のウエルネス・カプセルホテル」だ。ホテルは、滞在できる空間と時間、サービスを武器としているだけに、発想次第で如何ようにも進化できるポテンシャルを備えていると考えられる。
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