リサイクルには多大なエネルギーを要することもあり高コストになるという歯がゆさを抱えている。元の素材を生かしつつ、さらに価値を高めるアップサイクルの動きには、SDGs時代の企業成長戦略としても重要な示唆が感じ取れる。
■元の素材を生かすアップサイクル
「アップサイクル」とは、捨てられるはずの製品に新たな価値を与えて再生すること。「創造的再利用」ともいわれる。廃棄されるものの中から使えるものを取り出し、原料や材料として再利用する点ではリサイクルと同じだが、リサイクルのように多大な手間をかけ再利用のための原料や材料に戻すのではなく、元の製品の素材をそのまま生かすというのがアップサイクルの特徴だ。
■デッドストック品に新たな価値を
アップサイクルへの取り組みはファッション・インテリア業界で先行している。アップサイクル・ブランド「ビームス クチュール(BEAMS COUTURE)」では、倉庫のデッドストック品に古着やリボンのパーツなどを取り入れる発想と丁寧な手仕事で、「新たな価値を持った一点モノ」に仕立て上げている。
■拡がるアップサイクルの試み
食業界で、フードロス削減につながる活動を積極的に進めているのがオイシックス・ラ・大地だ。廃棄するはずのなすのヘタを使った新感覚のチップスや有機バナナの皮を使用したジャムなど、より環境負荷の低いアップサイクル商品を開発している。また、コスメ業界でも、コーセーでは、使わなくなった化粧品を色材へとアップサイクルする事業に着手。さらに、メイクアップアーティストブランド「アディクション」から、リサイクル素材を使用したコンパクトケースを発売した。アップサイクルの取り組みは、事業展開や商品開発だけでなく、新カテゴリ参入や異業種コラボなどの可能性を孕み、今後の成長戦略には欠かせないポイントだ。
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