長々期低迷から抜け出せない百貨店だが、ここにきて、反撃ののろし的な動きが注目を集めている。“モノを売らない”、“新たな商品づくり・場づくり”など、生き残りをかけた模索が始まっている。百貨店は再び“セカチュー”になれるのだろうか?
■“売らない店”の拡充
百貨店の売上高は1991年の9.7兆円をピークに、最近は6兆円程度で推移、コロナ禍の2020年には4.2兆円までに落ち込んでいる。最近、注目されているのは、ネット通販慣れした若い世代の取り込みをねらう「売らない店」。先行する丸井は、2024年3月期までにテナント構成の60%までを「売らない店」にすると表明している。大丸東京店では、ショールーミングスペース「明日見世」をオープン、高島屋はショールーム型店舗「Meetz STORE」1号店を新宿高島屋に開設した。客は商品を見て体験もした後、ネットで購入する。要するに、ネット販売会社に場所を提供しているわけだ。
■公共施設やレジャー施設の導入も
一方、診療所や公共の図書館、進学塾や英会話教室、フィットネスクラブなどを誘致する動きも活発だ。大丸須磨店(神戸市)には市立名谷図書館がオープン、松坂屋静岡店には都市型アクアリウムが導入された。
■金融事業にも参入
髙島屋と住信SBIネット銀行は、金融サービス「高島屋NEOBANK」を開始した。高島屋ではファイナンシャルサービスを百貨店事業の柱の一つとして位置づけており、口座開設から銀行取引、ATMからの現金引き出しなどをスマホ上で完結できるサービスとして注力していく。かつての百貨店は、我々の衣食住遊生活の中心として存在感を発揮していたが、最近の新たな取り組みによって、再び消費のメイン舞台として輝きを増していけるのだろうか。
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