多忙な生活者のための“時短”商品や“お値段以上”を求めるコスパ商品はもはや消費のコア価値だが、若い世代では加えて、「タイム・パフォーマンス」価値が幅を利かせている。暮らしや消費のムダやを余韻を省く究極のデジタル化ということか。
■ゼロ秒、倍速、スキップ視聴
最近の楽曲の特長として、すぐ歌が聴ける「ゼロ秒イントロ」が挙げられる。特にネットで活躍するアーティストに顕著で、海外のヒットチャートには2~3分の曲が多くなっているという。また、配信ドラマやオンライン講義を「倍速視聴」する、流れを待ち切れずに「スキップ視聴」する、結果を先に知って視聴する「ネタバレ視聴」も支持されている。
■高まる高速生活志向
博報堂生活総研の調査(2020年)では、生活行動の高速化を求める比率は1999年の37.4%から、2019年に57.4%へ上昇しており、若い世代を中心に「高速生活」ニーズが急速に高まっていることがわかる。SHIBUYA109 lab.の調査でも、85.0%のZ世代が「タイパを重視する」と回答している。低価格・大量の映像コンテンツ視聴が可能になったことから、逆に、「自分の気に入ったコンテンツを好きなだけ楽しみたい」という賢い取捨選択意向も働いているのではないか。
■「ながら」スタイルでタイパ
一方で、「ながら見」するZ世代が81.3%おり(上記調査)、食事・テレビ・勉強などをしながら音声SNSでしゃべる、友人とお茶をしながら、自宅でビデオ通話をしながらネットショッピングするといった「ながらスタイル」も定着している。限りある時間を極限にまで効率活用しようとする「タイパ・ライフ」こそ、デジタル時代を楽しみつくす知恵なのかもしれない。
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