保護しつつ活用する ‘’個人情報ビジネス “の助走

これまでは無闇に“保護すべし”とされた個人情報だが、最近では、その呪縛もゆるくなったのか、膨大な個人情報をさまざまなビジネスに活用する動きが顕著だ。実は2019年は、「個人情報活用ビジネス」元年だったというわけだ。

■個人情報を有効活用する時代へ

 長く続いた頑迷な個人情報保護の時代が終焉を迎えようとしている。たとえば、「情報銀行」(vol.70で既報)の試みは、生活者から個人情報を預かり、管理・統合して企業に提供することで利益を得るビジネスだ。性年齢などの基本情報や興味カテゴリー、位置情報や購買履歴などの提供を許諾すれば、その人は利用企業から対価(サービスや商品・金銭など)を受け取れるギブアンドテイクの関係だ。

■急拡大する「信用スコア」ビジネス

 2019年に開花したのが「信用スコア」。個人に紐づくデータをもとに信用度を分析し、スコア化するもの。膨大な個人データをAIが分析する。数値として可視化された信用度は、融資・ローンなどの審査に活用される。2019年には、L「INE Score」、「Yahoo!スコア」をはじめ、ドコモ、メルカリなどの情報プラットフォーム企業が次々と参入を進めている。「LINE Score」は、サービス開始から約2か月で登録者が200万人を突破したという。

■出会い創出も購買履歴データで

 同じく2019年には、日本最大級である「Tカード」に集まる膨大な量の購買履歴データを活用し、運営元のCCCのグループ会社がマッチングサービス「D-AI(デアイ)」を開始。カード利用データから推測されるライフスタイルから価値観を予測し、相性のいい相手を紹介するというわけだ。大規模かつ全面的な情報流出というリスクをはらみつつも、個人情報を最大限に活用していく流れはますます強まっていくだろう。


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