プロトタイプはもういいや! “世代・年代論の終焉“の始まり

「いまどきシニアはアクティブ」だの「Z世代はデジタルネイティブ」だの、誰もの耳にタコができていることだろう。プロトタイプなレッテル貼りも大雑把な掴みには役立つかもしれないが、次の時代や市場を切り拓くジャンプ台にはなりえない。

■重宝される世代・年代マーケティング

 マーケティング業界では、相変わらず世代定義が騒々しい。Z世代の次はアルファ世代だという。なにもかもが米国直輸入のプロトタイプで、大変わかりやすいから誰もが重宝することになる。しかし、業界の片隅からは30年も前から、デモグラフィック分析主体の世代別・年代別定義には大した意味はなく、これからはクラスター(性年齢にとらわれない価値の房)マーケティングだとする声も聞かれ続けてきた。

■「消齢化」というエビデンス

 そのような疑念に味方する調査結果が発表された。30年におよぶ博報堂生活総研の「生活定点」調査によると、これまで年代による差が大きかった価値観や嗜好の差が徐々に縮まりつつある「消齢化」の傾向が発見された。年代間の差が小さくなる動きは、「離婚の容認度」「スマホの不可欠性」「モノやサービス購入時のこだわり」をはじめ多岐に渡っているという。言い換えれば、価値観や嗜好性が世代を超えて同質化しつつあるということにもなるだろう。これらの発見は、今は一調査結果による示唆に過ぎないかもしれないが、デモグラフィック分析を軸とした従来のマーケティングにとって、発想と戦略転換の重要な兆しとなるかもしれない。

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編集工房《Office K》が提供する、Marketing/Mind/Movementのイマとコレカラを読み解くトレンド・クリップ。時代・社会、市場・商品、暮らしや生活意識の大小潮流をご紹介。