AIの効用は、ロボットとおしゃべりできることではない。ビジネスの現場において、より合理的なソリューションを迅速に提供することで、業務の効率化や生産性の向上に寄与できるのが最大のメリットだ
■タクシー乗車率を予測するAI支援システム
AIと聞くと、優秀なヒト型ロビットを思い浮かべるが、ビジネスの現場では、すでにより実用的なAI組込みシステムが稼働している。トヨタ自動車は、ジャパンタクシーなどと共同でAIを活用したタクシー配車支援システムを都内で試験導入した。精度の高い需要予測を立てることで、売上高が2割向上したとのことだ。都内の複数のエリアのタクシー乗車数を30分単位で予測するもので、過去の運行実績や人口動態予測のほか、気象や公共交通機関の運行状況、大規模イベントなどのデータを取り込んで学習させている。
■ローン滞納だとエンジンかかりません
これとは異なった方向からビジネス支援を行うシステムもある。西京銀行(山口県)は、グローバルモビリティサービス(GMS)と業務提携し、IoTデバイスを活用したオートローンを国内初導入した。このシステムは、自動車の位置情報を特定するとともに、安全にエンジン遠隔起動制御を行うことができる。オートローンを滞納などの条件に抵触すると、約1秒間で世界中の該当車両を起動できないよう制御できるという。ある意味、最強の監視システムともいえる。
■飲食店の悩みをソリューション
また、飲食店の頼もしい助っ人も登場している。全日本飲食店協会は、悪質なドタキャンを根絶すべく「ドタキャン防止システム」を開発・無料で提供を始めた。ドタキャン歴のある電話番号をデータベース化し、予約の際に電話番号を照会、。ドタキャン歴のあった顧客に対しては、前払い制などで対応する。AIが人間の仕事を奪う、といったネガティブな予測が先行しているが、大量のデータ処理で、より合理的なソリューションを提供できる効用は、ビジネスの現場にますます受け入れられていくに違いない。
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