盗難なんかには挫けない “無人販売店舗“の増殖

ワイドショーをにぎわす冷凍餃子無人販売店からの盗難動画。そのようなリスクを補って余りあるメリットが、全国で多種多様な無人販売店舗を拡大させているようだ。人手不足、運営コスト高騰など、小売店を取り巻く環境は実に厳しい。

■急拡大する無人販売店舗数

 無人販売は、蜜を避けるコロナ禍が生んだビジネスモデルだ。帝国DBによると、餃子の無人販売店は2022年度に1282店舗となり、2020年度の約10倍に拡大したという。事実、最大手の「餃子の雪松」は2019年17店が2023年には430店と急成長した。

■販売食品も多種多様に

 餃子を手始めに、現在ではラーメン、肉、ホルモン、焼き芋などの食品が無人で販売されている。また、スイーツの無人販売店「24(トゥエンティフォー)」は、全国各地に取引先を70以上確保、店内冷凍ケースには常に50~100種のスイーツが並ぶ。大都市圏の人気スイーツを手に入れたい地方在住の女性層のリピーターをねらう出店戦略で、2024年には150店への拡大を目標にしている。

■こんなモノまで無人販売?

 さらに最近では食品以外の分野にも無人販売の波は押し寄せている。化粧品のオルビスは、2坪ほどのコンパクト店で化粧水や美容液など約90種を売る。もちろん、カメラやセンサー、セルフレジなどITで武装する。東京メトロ・溜池山王駅構内には、無人書店「ほんたす」がオープン。事前会員登録しQRコードで入店。会員数はすでに3000人を超える。さらに、無人の古着専門店「SELFURUGI (セルフルギ)」(池袋)は開店わずか1か月で黒字化を達成する盛況ぶりだという。考えてみれば、日本では数万のCVSや数百万の自販機がある。「Amazon Go」を筆頭とする無人店舗はその隙間をねらうニッチ業態だが、コロナ禍も一段落した今、あらためて存在意義がが問われているだろう。

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