コロナ禍が加速させる ‘’産業DX“の突然変異的進化

この間、着実に進展してきた産業・経済・ビジネス全般のDX(デジタル・トランスフォーメーション)が、今回のコロナ禍によって、劇的な加速力を得た。ある日突然に別ものに変態するかのような様変わりが、アフターコロナ時代に訪れる。

■IT改革から「DX」の時代へ

 この間、あらゆる産業・経済はICT技術の加速度的な進化によって大きく変容してきた。IT技術を生かして、新規事業を立ち上げたり、業務の生産性・効率を図ったりというレベルを超えて、今や「産業DX(デジタルトランスフォーメーション)」時代を迎えている。これは、デジタルテクノロジーを駆使して、経営のあり方やビジネスプロセスを再構築することを指し、企業や事業におけるあらゆるステークホルダーの関係性やスタイルを大きく変えてしまうインパクトを持つ。

■コロナ禍で「DX」活性化

 今般のコロナ禍によって、生活者のニーズや生活スタイルが激変したことが大きな追い風となり、DX志向はさらに勢いを増している。たとえば、ソニーは、ITに支えられたゲームや音楽事業を一段と強化し、金融事業を完全子会社化するなど組織改編を急ぐ。さらに、2021年春には社名すらも改める予定だ。ヘルスケア大手のオムロンは、FAや遠隔医療などIT周りの事業に注力していく。さらに、百貨店やアパレルでは、EC事業の強化やオンライン接客に取り組む。

■テレワーク拡大で、オフィス不要論も浮上

 ITを駆使したテレワークの拡がりで、その合理性と快適さゆえ、都心のオフィスを解約する企業も出ているという。専門家は、全就業者の1割がテレワークを続けたと仮定すると、都心の空室率は15%近くまで上昇し、賃料も2割程度下がる可能性があるとみている。DXは、生活者の働き方や生活スタイル、人間関係や価値観をも変容させていくパワーを秘めている。


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編集工房《Office K》が提供する、Marketing/Mind/Movementのイマとコレカラを読み解くトレンド・クリップ。時代・社会、市場・商品、暮らしや生活意識の大小潮流をご紹介。